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2009年07年29日

米中戦略経済対話に思う


7月中旬に、サマーズNEC
委員長は、
「米国は、消費主導ではなく、輸出主導の経済へ構造転換するべきだ」
と発言しました。

続いて翌週に、ロック商務長官も、サマーズNEC委員長と
同じ趣旨の発言をしました。

7月22日に開幕した、米中戦略経済対話では、
オバマ大統領やガイトナー財務長官が、
「米国は貯蓄を増やし、中国は消費を増やす」
べきとの発言がありました。

失業が増加して所得が伸びないなかで、消費は減少するのは当然です。
反対に貯蓄率は上昇しています。

その上、1952年以来初めて、税引き後の個人所得額に対する
負債額の割合が、減少している模様です。
家計は痛みを伴いながら、構造転換し、将来を警戒しています。

客観的に見て、中国には、チベットやウイグル等の人権問題、
膨大な対米貿易不均衡、人民元の調整等の問題が存在します。

米国には、金融危機から発生したリセッションからの脱却、
増大する財政赤字、ドル安不安等の問題があります。

現時点で、喫緊の問題は経済であり、
地球温暖化等の環境問題ではなさそうです。


中国は、外貨準備の運用先として、米国債を購入し続けると思います。
ドルの価値が大きく下がらないように、人民元の為替調整には、
米中両国とも積極的ではないようです。

中国が、米国の財政赤字のファイナンスをしている間、
米国には、経済と財政を立て直す時間的猶予が与えられています。

米中両国は、危機を克服するために、大人の振る舞いをしています。
米国は中国の人権問題を棚上げし、人民元高圧力を弱めます。
中国は、米国の財政悪化に寛容となり、ドルを買い支えます。

結果として、ドルの全面安はありません。

G2体制がはっきりとしてきました。

それでは、中国の台頭により、相対的重要性の大きく低下した、
日米関係はどうでしょうか。
クリントン大統領時代と、どことなく似た状況です。

米国から見ると、政権交代する日本は、
外交や安全保障の政策の継続性で、疑心暗鬼があると思われます。

また、日本には、既に膨大な財政赤字が存在しますので、
さらに内需を刺激する要求は困難だと思います。

国と地方を合わせて、債務残高は、
国民一人当たり600万円の借金です。

どうにかしないといけないところです。

米国の輸出主導に応えるために、日本が米国から買えるものは、
何でしょうか。
一部のハイテク製品や航空機や農畜産品ではないでしょうか。

即効性の面で考えると、米国が対日輸出ドライブをかけるためには、
交易条件改善のため、円高が最も効果があると考えます。

円高になれば、個人金融資産が流動化して、
もう一つの輸出品である、米国債が日本の個人に売れます。

まさしく、米国にとって円高は素晴らしい輸出ドライブの手段だと思います。
米国の望み通り、円のみドルに対し強くなるだろうと思います。
当局は慎重にオペレーションするでしょう。

筆者は、超長期では円安を想定しています。
現状のまま低い出生率が続くと、人口は減少し続けます。
海外から移民を受け入れる可能性は低いと思います。

人口減少でGDPが成長するのは困難です。
また、世界経済に与えるインパクトは小さくなるのは自明の理だと思います。

蛇足ですが、「世界第2位の経済大国」と肩に力を入れずに、
「山椒は小粒で、ぴりりと辛い」国を目指す方が、
良いのではないかと思います。

残念ながら、政権交代の有無に関係なく、
日本が、独自に金融経済危機から脱出するための
手段や政策は限られています。

中国では、第二段の消費刺激策が、採用されようとしています。
米国では、議会は消極的ですが、ルービニ教授等も前向きに、
景気刺激策の必要性が話題になっています。

世界は、米中のG2を中心に回って行くことでしょう。


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