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2009年08月19日

デフレの米国


相場は、「絶望の壁をよじ登り、希望の坂をすべり落ちる」と
言われます。

今年の3月は、1930年代の大恐慌と同じような重苦しい雰囲気の中で、
相場は底を打ちました。

景気底入れが観測される昨今、景気を楽観する市場参加者が
増えてきています。


米国7月PPIが発表されました。
前月比-0.9%、前年比-6.8%、と過去最大の下げ幅となりました。

先週発表された、7月CPIは、前月比±0.0%、前年比-2.1%でしたので、
主要物価指数は、米国でも日本同様、デフレ状態を示しています。

経済学の教科書には、「価格は、需要と供給で決まる」、
と書いてあります。

価格が下落するのは、「需要<供給」の状態だからです。
供給を需要に見合う分だけ減少させると、価格下落は収まります。

供給を減らすことは、生産を減らすことと同じです。
これは、企業がリストラをして、雇用を減少させることを意味します。

デフレがさらに深刻化する可能性があります。


企業がリストラで減らした雇用を、政府がカバーすることは、
経済対策の一部です。

オバマ政権には追加経済対策の準備はあるのでしょうか。

経済が二番底を打つ気配を感じたら、追加経済対策を検討するでしょう。
このところ、オバマ大統領の支持率の逓減は少し気になります…。

デフレを解消するために、痛みを伴わずに、
供給を減らすことは困難だとすると、

需要を増やすためにはどうすれば良いのでしょうか。

需要を増やす方法は、大きく2通りあります:

1)国内の消費・需要を増加させる
2)輸出振興して、外需を増加させる

1)を考えてみます。

教科書を見ると、「所得=消費+貯蓄」と書いてあります。
所得が一定とすると、貯蓄を減らさない限り、
消費は増えないことになります。

雇用が減少している現状で、所得そのものは増えません。
実際は、所得は減少気味ですから、消費を増やすためには、
貯蓄を大きく減らす必要があります。

米国民が生活防衛のため、歴史的水準まで貯蓄を増やしている現在、
構造的に消費は増えにくいです。

所得が一定でも、所得が減少しても、また、貯蓄が増加しても、
消費を増やす方法があります。

借金です。
借金して消費をすれば良いのですが、これも現実的ではありません。

米銀は、貸出し審査基準を厳しくしていますし、
米国民は借入れをしようとしていません。

サブプライム問題とリーマン・ショックで、米国は帰らざる川を渡りました。
米国民はしばらくの間、借金しない方向です。

しかし、連邦政府や地方政府は、経済対策の名の下、
多額の借金は必然となっています。

さらにもう一つの方法があります。
消費を喚起するために、価格を下げる方法です。

これでは、販売数量は増加しても、企業は利益が出にくいです。
その上、将来の需要まで先取りしてしまい、
着実な消費拡大にはならない可能性があります。

いわゆる「デフレ・スパイラル」の恐れが出てきます。

1)が難しいことが分かりました。


それでは、2)はどうでしょうか。
先日のG2「米中戦略経済対話」で議論された内容の一部は、
「米国は貯蓄を増やし、中国は内需を盛り上げる」、とのことでした。

中国が内需を拡大することは、米国から輸入することを意味します。

米国が、デフレから脱却して、景気拡大をするためには、
2)の方法が最良の方法だと思います。

オバマ政権は、中国に限らず、日本や他の国にも、
米国からの輸入を催促するものと思います。

米国内の消費・需要が弱くとも、輸出ができれば、
供給を絞らなくても良いのです。

供給が維持・拡大できれば、生産が増加します。
生産が増加すると、雇用が発生します。

雇用が増加すれば、所得が増えます。
所得が増えれば、消費が増加します。
結果として、デフレが終焉します。

蛇足ですが、デフレのみを退治する危険な方法がまだあります。
FRBが、思い切ってドル紙幣を増刷して、
ヘリコプターでばら撒く方法です。

FRB議長ベン・バーナンキ氏は、90年代の日本の財政金融政策を
辛らつに批判していました。
それで、ついたあだ名は、「ヘリコプター・ベン」でした。


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