平松雄二の 株と為替に勝つ!
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2009年11月18日

米国クリスマス商戦に思う(その1)


11月16日(月)に発表の10月米小売売上は、前月比+1.4%と、
事前予想の+1.0%前後よりも強い数字となりました。

ただし、前月は-1.5%から-2.3%へと、下方修正されました。


同日の株式市場は年末に向けて、
クリスマス商戦が好調に推移するのではないか、との思惑で、
主要株価指数は年初来高値を付け、1年1ヶ月来の高値をとってきました。

昨日は、年末商戦に慎重な見方をする一部小売企業もありましたが、
株式相場は、全般的に堅調さを維持しました。

潤沢な流動性とゼロ金利に支えられ、株式相場は下げることは困難で、
買わなくてはいけないと考える市場参加者が多いようです。

一国の経済構造を変革するのは、大きな犠牲と長い時間を必要とします。

現在、米国は消費を抑制して貯蓄率の上昇を目指していると言われています。

不動産バブルが破裂したため、家計部門が抱える債務を、
時間をかけて貯蓄で削減しようとしています。

貯蓄の源泉は所得です。

可処分所得から消費を除いて、残った部分が貯蓄です。
失業率が高い現在、マクロ経済ベースで、所得の伸びは期待できません。

給与での所得が伸びないのであれば、
保有資産の値上がりによる所得の伸びに期待するしか方法はありません。

いわゆる資産効果です。

住宅価格が上昇しないのであれば、有価証券、
つまり株式や投資信託の価格が上昇すれば良いのです。

痛みを紛らわせるモルヒネは、資産バブルです。

現在の資本主義制度では、バブルを処理するのは、
バブルでしかできないのでしょうか。

繰返しますが、所得が伸び悩むのであれば、
株式や投資信託の資産価格を上昇させれば、痛みも和らぎ、
所得の向上につながります。

ひいては、貯蓄率上昇にもつながります。

ただし、資産価格上昇による所得を、
全部消費に回さなければと言う停止条件つきです。

FRBは、実質ゼロ金利の状態を、恐らく来年後半まで継続すると思います。
場合によっては、来年一杯はゼロ金利のままの可能性すらあります。

インフレ懸念を持つ市場参加者はいますが、
まだインフレは顕在化していません。

FRBが暗黙の了解をしている、ドル・キャリー取引で、
高金利通過高・資源高・リスク資産高が示現するのであれば、
FRBにとっては好都合です。

結果として、米国の家計部門の所得増大に貢献できるからです。

多少ドルが下落しても、ドルは基軸通貨であることに変化はありません。

オバマ大統領が核兵器廃絶を唱えても、ノーベル平和賞を貰っても、
米国の軍事力は強大です。

イラクやアフガニスタンで苦戦しても、世界最強の軍事力です。
サブプライム・ローンで落込んでも、世界最大の経済力です。

ドルが基軸通貨であるからこそ、米国の膨大な財政赤字は、
国際収支黒字の国がファイナンスせざるを得ないのです。

国際経済学の恒等式は成立します。

米国の金融財政当局者の中に、
本気でドルの下落を心配している人は皆無ではないでしょうか。

ドルが短期間で大きく下落しないのであれば、許容範囲です。

米国債を大量に購入している国から苦情が出ても、
その都度リップ・サービスしておけば十分です。

国際収支の黒字は米国債しか買うものがありません。
金では市場が小さ過ぎます。

米国は過剰消費をするので、貿易赤字になります。

このことは2つの側面があります。
1つは、国内生産が海外に移転されて、
そもそも国内消費に見合う生産量が不足していること、
もう1つは、所得以上の消費を借入れでしてしまうことです。

短期間の為替調整では問題解決しません。

米国内に、家計部門の赤字をファイナンスできる部門があれば良いのですが、
政府も企業も家計の赤字を埋め切れません。

蛇足ですが、日本の財政赤字の
GDPに対する比率は、
米国よりも大変な状況ですが、
今のところ個人貯蓄で財政赤字を埋めることが可能です。


米国が、消費を抑制して貯蓄を増加させることは、
国際不均衡を是正することに貢献します。
株価上昇で消費者が強気になり、昔のように高額品を沢山購入すると、
「元の木阿弥(もとのもくあみ)」になります。

喉もと過ぎれば…と心配になります。(以下次回)


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