平松雄二の 株と為替に勝つ!
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2009年11月25日

米国クリスマス商戦に思う(その2)


米国は20世紀後半、製造業を海外に移転しました。

米国内のコスト高による、輸出競争力喪失と、より高い利益率を求めて、
半導体やIT関連そして金融へシフトした結果です。

米国の製造業大手企業は、グローバルな事業展開をしていますので、
ドル安になるとドル・ベースの業績が良くなり、株価が上昇します。

この関係は、円安になると株価が上昇する日本と同じだと言えます。

米国内消費で必要とされる量のモノは、米国内では生産されていません。
最低限必要なモノでさえも輸入せざるを得ないのです。

このことは、ドルが高くても安くても関係ありません。
ドルのレベルに無関係で、ある一定の貿易赤字は発生する経済構造です。

米国で、家計が借入れにより消費を増やしたり、
所得増加や資産効果で消費を増大させたりすると、
輸入が更に増えて貿易赤字が増大します。

所得増加や資産効果が発生する場合、
通常は経済活動が活発で、米国金利は上昇傾向にあります。

金利面で、ドルは他の通貨に対して有利な状況にあり、
貿易赤字増大が直接ドル安につながるほど短絡的ではありません。

米国経済が低迷し、財政政策を発動することにより
景気を浮揚させなければならない場合、
財政赤字は外国資金によってファイナンスされます。

米国内には財政赤字をファイナンスする資金はありません。
財政と金融政策は表裏一体ですから、スタグフレーションでない限り、
金利は低下して、ドルは下落傾向になります。

その上、財政赤字から市場でのドル余剰で、
ドルの減価は更に進みます。

中国経済が輸出から内需に転換し、
米国経済が消費を抑制し貯蓄を増加させると、
国際的な不均衡が是正されます。


米国の家計が抱える負債は、消費抑制により返済可能です。
リストラで失業が高止まりし、給与所得は伸びませんが、
世界的なリスク資産選好により、
資産効果で結果的に貯蓄率が上昇する可能性があります。

ただし、米国の消費者が財布の紐を緩めて、
クリスマスに以前のように高額商品を沢山購入しなければ、の条件つきです。

貯蓄が増えれば、投資の増加が可能です。
海外とくに中国へ輸出する製品を生産する設備投資の増大が可能になります。
同時に雇用も発生します。

米国は好循環に入ることができます。
米国から中国をはじめ世界へ製品を輸出するため、

交易条件は有利にしておかなければなりません。

つまり、ドルは高くしてはいけないのです。

数年前の円キャリー取引が、世界の住宅バブルを醸成したと言われています。
今回は、ドル・キャリー取引が、アジアの不動産と株式バブルを発生させています。

ドルは基軸通貨であり、大量の米国債を中国や日本に買わせています。
換言すれば、積み上がった貿易黒字を使う選択肢は米国債購入しかありません。

中国と日本が、過去に蓄積した貿易黒字を、国内にすべて還流すると、
中国はインフレになり、日本はスタグフレーションになります。

人民元はドルに対して減価してしまいます。
これは、中国も日本も採用しにくい選択肢です。

落日の米国経済ですが、殺傷与奪権はいまだに米国が握っています。

米国民は、株が上がったので、気持ちが大きくなって、
思わず消費してしまいそうです。

過去1年以上消費を我慢してきました。
一朝一夕に消費行動は変えられないものです。

今回のクリスマス商戦は見ものです。

感謝祭が終わって、今週末からの消費はどうなりますやら…。
国際的な不均衡是正が進むのかどうかの、絶好のリトマス試験紙となります。


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