平松雄二の 株と為替に勝つ!
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2010年01月07日

需給ギャップの処方箋


生意気に天下国家を語る資格はありませんが、
長い間相場に向き合っている人間として、
感じていることを処方箋として書いてみようと思います。

<国内需要が減少した原因>

1)最大の原因は人口減だと思います。
 一人当たりGDPを増加させない限り、GDP全体は減少してしまいます。
 現在のところ、GDP統計が最良の経済を測るモノサシです。
2)年金問題が国や官僚に対する不信感を増幅しています。
 将来不安が現在の消費にブレーキをかけてしまいます。
3)バブル崩壊後20年経過しても、株価は低迷したままで、
 経済はデフレ状況が続き、国民は自信喪失状態にあります。
 ただし、バブル絶頂期のような自信過剰では
 世界から嫌われることも事実です。
4)政治の貧困も大きな原因です。
 金属疲労の自民党、制度疲労の官僚制度、旧田中派と同根の民主党。
 政治の問題は投票権を持つ国民自身の問題でもあります。
 日本において、民主主義が進化する一つの過程だと
 理解することもできます。

<海外需要が減少した原因>

1)住宅バブル崩壊で、米国の家計に大きなダメージが残りました。
 過剰だった米国個人消費が抑制されることで、傷を癒しています。
2)サブプライム・ローンやそれを組み込んだ金融商品の値崩れで、
 金融機関に巨大な不良資産が発生し、
 100年に一度と言われる金融危機になりました。
 ドルは基軸通貨として、貿易や資本取引に必要なものですが、
 信用不安でドルの流通が止まり、
 一瞬で貿易や資本取引が滞る事態になりました。
 それに伴い、海外の需要が大きく減少してしまいました。
 これは実需の面です。
3)さらに実需ではなく、過剰流動性過剰信用創造等の金融面で
 膨らんでいたバブル的な需要は、
 言うまでもなく、金融危機で雲散霧消してしまいました。

<国内供給が増大した原因>

1)日本の製造業の優秀さが第一の要因です。
 安くて良い製品を作る能力は世界一です。
 しかし、携帯電話のガラパゴス現象が示すように、
 常に変化する世界のニーズに合う製品を供給しているのでしょうか。
2)経済構造や産業構造の変革に失敗していることは大きな原因です。
 海外の需要を満たすための供給余力の部分を含めて、
 需要不足を計算しています。
 財政赤字を膨張させて、需要不足を補う「補正予算」等を作っても、
 過剰設備を温存させるだけの効果しかありません。
 その上、過剰な予算で非効率な国内需要型企業の淘汰にも
 手間取っています。
3)2003〜4年にかけて実施した大規模な為替介入により、
 実体よりも円安になったことも必要以上の供給余力を持った原因です。
 当時も円高デフレが叫ばれていて、
 不況脱出のためのドル買い円売り介入でしたが、
 結果的には供給力を保有したままでした。
4)新興国の需要拡大。中国を初めとして、
 新興国の需要が新たに出現したことも供給力が増大した原因です。
 新規の需要拡大は、世界経済の成長にはとても良いことです。


需要減と供給増の原因を考えましたので、
次は原因解決のための処方箋です。


<供給サイド>

1)補正予算を止めること。非効率な国内需要型企業への、
 ミルク補給は直ぐに止めることが大切です。
 苦しくとも、選挙で票を逃す可能性があろうとも、補正予算は止めましょう。
 財政健全化にも役立ちます。
 失われる可能性のある雇用については、
 補正予算ではなく本予算で対応すべきだと思います。
2)既存設備を単純に廃棄するのは、日本人の
 「もったいない精神」に反するので設備を必要とする新興国に
 適正価格で売却すること。
 設備廃棄に伴い発生する会計上の損失は、
 税制面で優遇することも大切だと思います。
 海外に設備を移転して衰退する産業は、
 製造コスト安による優位性が収益源ですから、
 真に競争力のある技術や創造力をつけたいものです。
3)為替介入はしないこと。
 2003〜4年の介入では、ドル買い円売りした資金を、
 日本銀行は市場から吸収することをせずに、そのままにしておきました。
 これを専門的に「非不胎化」と呼んでいます。
 当時、市場ではリフレーション政策と評価していましたが、
 将来的に成功するかどうか分からないので、
 一時しのぎの介入は止めましょう。
4)成長戦略を作らないこと。
 政治や官僚を信用していないのですから、
 政府の作る成長戦略は結果として機能しないと思います。
 経営者の中にも、政府の成長戦略が必要だとの声はありますが、
 机上の空論になるかも知れない成長戦略は必要ありません。
 経済が落込み混沌とした状態で、
 国民や企業が自然と次の成長路線を考えるものと信じます。
 実際に、お上の作った工業団地なんて空き地だらけです。
5)失業保険給付の条件緩和と期間延長をすること。
 正社員・派遣社員・パート・アルバイトに関係なく給付すべきだと思います。
 コストがかかっても、無駄な公共事業をするよりはまだましです。
 民主党の「コンクリートから人」の考え方には賛成です。
 非効率な土木建設関係の企業(すべてが非効率とは思いません)の
 延命を図るよりは、雇用が減少した分に対して直接給付する方が良さそうです。
 談合したり神の声や天の声がしたり、ろくなことはありません。

<需要サイド>

1)少子化対策がもっとも大切だと思います。
 子供手当ても悪くないですが、子供の前に援助すべきことがあります。
 出産費用の全額国庫負担です。
 少なくとも半額は国で費用負担したいです。
 その上、不妊治療も国の補助を考えると良いのではないでしょうか。
 同じ出産費用でも、代理母の費用はここでは論じません。
 少子化対策は、10〜20年の長期間の対策です。
2)保育所や幼稚園の規制緩和や補助金が次に大切だと思います。
 0歳児の面倒をどうやって安全確実に見るかも、とても大切です。
 子は国の宝です。
 いきなり、小学生や中学生のいる家庭に対する手当てをばら撒くよりは、
 出産や赤ちゃんへの手当ての方が先ではないでしょうか。
3)ようやく、子供手当ての順番ですが、1)と2)で費用が膨大にかかるので、
 子供手当てまでは無理かも知れません。
4)思い切って移民を受入れることもあり得ると考えますが、いかがでしょうか。
 多様性を持つことはとても大切です。
 現時点で日本人の雇用がない状態です。
 社内失業も多いと聞きます。
 移民に就業チャンスがあるかどうかは分かりません。
 移民を受入れる体制を整えても、
 実際に移民が日本にくるかどうかも分かりません。
 しかし、門戸はオープンにしておきたいです。
5)消えた年金問題の解決は重要です。
 早く納得できる形で解決することです。
 新しい年金制度の創設は、現在の問題が解決されてからでないと、
 国民は承服しません。

<まとめ>

高速道路の無料化や暫定税率廃止は必要ないと考えます。
少子化対策が最重要です。
また、余分な海外の需要をまかなうだけの
製造設備を持たない決意が大切です。

過剰な設備は、レバレッジをかけたことと同じ効果があります。
つまり、海外の需要が大きい場合、国内需要以上の生産が可能で、
景気は実力以上に良くなります。

逆に海外の需要が冷え込んだ場合、
過剰設備で必要以上の生産余剰感が出ます。

デフレ傾向に拍車がかかります。
製造業の雇用についても同じことが言えます。

日本株がOECDの景気に先行性があると言われるのは、
半導体や先進技術が得意な製造業の特性のみならず、
このようなレバレッジ効果のある生産体制を
保有していることにも理由があると思います。

大きくてブカブカの洋服ではなく、
身の丈にあった洋服を着たいと思います。

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