平松雄二の 株と為替に勝つ!
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2010年02月04日

一般教書と予算教書


一般教書演説とは、米国議会への出席権を持っていない米国大統領が、
慣例として、上下院議員へ国の現況や見解や政治課題等を説明することです。

1月の最終火曜日に行われることが多いです。
日本語訳では教書と言う物々しい名前が付いていますが、
英語ではメッセージです。

<一般教書演説>

先週1月27日、オバマ大統領が就任後初めての一般教書演説を行いました。
医療保険制度、雇用創出、設備投資に対する税優遇、クリーン・エネルギー戦略、
高速鉄道網等々盛り沢山の内容でした。

その中でも、今後5年で米国からの輸出を倍増させると言う
意欲的なものも含まれていました。

<米国の狙い>

米国は昨年景気対策のため財政赤字を拡大して、
金融市場の過剰流動性の膨張と実質ゼロ金利で、
経済は大不況の淵から戻ってきているようです。

その結果「ドル余剰」となっています。
米国は緩やかなドル安政策を推し進め、
国際不均衡の是正(米国の過剰消費抑制と貯蓄率向上)を目指しています。

<中国の内情と米中の利害一致>

米国債の最大の保有国である中国は、ドル安に不満ですが、
ガス抜きの条件?として、
米国からはあからさまな人民元高誘導をしないことで、
小康状態を保っているように見えます。また、

中国には内政問題もあり、大きめの経済成長が必要だと言われています。
中国から米国への輸出が以前ほど期待できないのであれば、
余裕ある財政を最大限使って内需を刺激するしか方法はありません。

内需拡大が米国からの輸入増となって表れ、
国際不均衡の是正に役立っています。

<ドル安と株高>

経済指標や企業決算を見る限り、米国の製造業は好調ですが、
今のところ決して雇用を増やしてはいません。

米国の製造業は、高い労働生産性と効率経営で輸出を伸ばしていますが、
重要なものは交易条件であるドル相場です。

ドル安で輸出競争力が回復し、米国のグローバル企業のドル建ての
海外売上げ等が膨らんでいるので、株価も高値を維持できる構図です。

<ドル・キャリー取引

米国の低金利と流動性で生じるドル・キャリー取引で、
中国を中心とするアジアの資産価格が上昇して内需が盛り上がっています。
このことも米国からの輸出が増加する要因でもあります。

アジア株の上昇は米国株にも当然良い影響があります。

<大統領の決意>

昨年以降、米国が実行している諸政策は、
とてもよく練られており現在までは計画通りうまく機能しているように思います。

住宅バブル崩壊とリーマン・ショックの震源地である国の経済は、
遠く離れて対岸の火事と眺めていた日本の経済よりは少しはましな状況です。

一般教書演説での「今後5年で米国からの輸出を倍増させる」発言は、
「必要以上にドル高にはしない」と決意表明したものと思います。
90年代のクリントン政権を彷彿とさせます。

<予算教書では財政赤字継続>

2月1日に発表された米国の2012年度の予算教書でも、
財政赤字は増加予定です。

2020年までは相当額の財政赤字が発生し続ける予定です。
この第1四半期で、大恐慌に陥る危険があったために
採用された緊急避難的な流動性注入プログラムは順次終了予定です。

米国の景気次第ですが、
年後半から来年には政策金利は引き上げられると思います。

しかし、政策金利が引き上げられても、
まだ緩和的な金利レベルだろうと思います。

<ドル余剰と米国の思惑>

一般教書と予算教書を見て、結論的には異常なまでの「ドル余剰」は、
少し解消されるだろうと思いますが、
根本的な「ドル余剰」は継続するものと思います。
過去1年間、米国の経済金融政策は見事に機能していました。

別の言い方をすると、米国の経済金融政策が首尾よく行かなければ、
それこそ大恐慌になっていた可能性が高かったのです。

今後も米国のシナリオ通りにことが運ぶのか見ものです。
世の中、物事は思い通りにはならないことが多いですから…。
それとも米国だけは特別でしょうか?

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