平松雄二の 株と為替に勝つ!
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2010年02月25日

公定歩合引上げについて


昨日、バーナンキFRB議長が、
金融政策について議会証言しました。

先日、公定歩合を0.25%引き上げ、0.75%にしましたが、
低金利は当面継続するとのことです。

つまり、金融政策で一番重要な指標金利である、
FF金利は0〜0.25%に据え置くことを明言しました。

FF金利を変更しないにもかかわらず、
どうして公定歩合を引き上げたのでしょうか?

それには、いくつか理由があると思います。
筆者なりの考えを書いてみます。

まず、公定歩合とは何でしょうか。

銀行は預金を集め、それを元手に国債を購入したり、
企業に融資したりして、利益をあげようとします。

預金を集めても、何かで運用しないと、
預金に金利をつけることができませんし、
株主に配当を支払うことができません。

預金を銀行の金庫に入れておけば、単なる現金です。
現金は利息も利益も生まないものです。

ところが、何かの理由で元手の預金が足りなくなり、
融資資金等を預金ではない形で調達しなくてはならない場合が生じます。

通常は、金融市場で資金調達ができるのですが、
元手が足りなくなるくらいですから、
背後に特別な理由があることが多いです。

そこで登場するのが中央銀行です。

米国の場合はFRBがその役目を果たしています。
銀行は、金融市場で資金調達するべきところ、「最後の貸し手」として
中央銀行から資金を借りなければならない状況になったので、
ペナルティー金利を支払って資金調達します。

このペナルティー金利のことを公定歩合と言います。

2007年夏以降、FRBは金融緩和でFF金利と公定歩合を引き下げてきました。
2006年までは、FF金利公定歩合の金利差は1%ありましたが、
直近までは、その差が0.375%まで縮小していました。

公定歩合引き上げ前のレベル=0.5%
FF金利のレンジ=0〜0.25%=0.125%(中間値として)
0.5%-0.125%=0.375%

<理由1>

金融市場が落着いてきたので、FF金利公定歩合の金利差を
以前のレベル近くまで戻しても影響が少ないと考えられます。

そもそも、公定歩合で資金調達しなくてはならない銀行は数少ないです。
「大きくて潰せない」大手銀行と違い中小銀行の場合、
公定歩合で資金調達をしても直ぐに潰れてしまいますので、
公定歩合ではお金を借りません。

そのため、公定歩合はシンボル的な金利であって、
本当の金融政策はFF金利の上下によって行っています。

<理由2>

公定歩合を引き上げても、直ちに金融政策の変更とはなりません。
FRBはまだ経済の様子を見たいのが本音です。

FRBには色々な考え方の理事がいます。
「中央銀行の仕事は、インフレの芽を摘むことだ」と
考える理事のことを「タカ派」と呼びます。

タカ派」は金利引き上げを唱えることが多く、
景気拡大よりはインフレ沈静に重点を置きます。
タカ派」の代表がカンザスシティー連銀のホーニグ総裁です。

一方、景気に配慮した考えをする理事を「ハト派」と呼びます。
ハト派」は、相対的に金融政策は緩和的な運営を好む傾向があります。

<理由3>

タカ派」の理事に配慮した公定歩合の引き上げと見ることができます。
製造業を中心に経済指標は回復を示しているのは事実です。

しかし、雇用や消費は引き続き落込んだままです。
直ぐにインフレは米国経済を襲うことはないと、
ハト派」の理事たちは考えていますが、
インフレに火が付くと早いのも事実です。

そこで、「タカ派」に少し遠慮した結果だと思います。

インフレの現状を見てみましょう。
添付のグラフ uscpi100225 は、米国のCPIです。

赤色の折れ線グラフは、年率のCPI
緑色の棒グラフは、年率のコアCPI

コアCPIとは、エコノミストが好んで使う指標で、
変動が大きなエネルギーや食料品価格を除いた数字です。

筆者は実際の生活ではコアCPIは関係がないと思います。
米国のように車がないと生活できない国で、
毎日食事をしないと生きていけないのが現実です。

赤色の折れ線グラフが、米国民が感じる実際の姿だと思います。
2ヶ所の茶色の円で示した時期は興味深いです。
年2008夏、景気拡大と住宅バブルの余韻が残っていた時期です。
前年比で+5%を越すほどのインフレ率でした。

そこから急転直下、リーマン・ショックと金融危機を経て、
2009年夏に前年比で大きくマイナスを記録しました。

これは、数字のマジックで、計算上のことです。
比較する前年の2008年7月が、+5%を越すインフレ状態でしたので、
2009年7月のインフレの状態が+5%程度で、前年比±0%になります。

つまり、昨夏は少し物価が下落していたことを物語っています。

赤色の水平線を+2.5%のところに引きました。
緑色の棒グラフのコアCPIの上限辺りですが、
赤色の折れ線のCPIの上下の平均辺りです。

前年比で+2.5%を超えて加速するCPIは、
許容できないレベルではないかと思います。
さて、今後のFRBの金融政策はどうなりますか…。

実際に米国で暮らしている人の話だと、
経済指標のCPIには少し違和感を覚えているようです。

物価は上昇していると言うのです。

食料品やガソリン代は下がっていません。
化粧品やトイレット・ペーパーもメーカーが値上げしようとしています。
散髪代も上がっているとのことです。

生活必需品は価格が上がっても購入するものです。

カリフォルニアの保険会社は、保険料を大幅に引き上げました。
一方、価格が下落しているものもあります。
自動車、パソコン、住宅、携帯電話等々です。

これらの商品はめったに買わないものですが、
価格が下落してCPIの低下基調に貢献しています。

値上がり傾向の毎日購入する必需品と、高額な商品の綱引きです。

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