平松雄二の 株と為替に勝つ!
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2010年03月03日

ユーロとギリシャ


バンクーバー冬季オリンピックが終了しました。
オリンピック発祥の地である、ギリシャの信用問題が、
表面的に良い方向に向かっているとの報道があります。

ギリシャが、3月3日に追加財政赤字削減策を発表するとのことで、
目先のユーロ売りが一瞬止まっています。

報道によると、内容は約48億ユーロ(約5800億円)の追加的な削減で、
増税と公務員の賃下げです。

真実を隠して、ユーロに加入するために、無理をした結果です。
労働者の4分の1が公務員のギリシャで、
すんなりと賃下げができるのか疑問です。

先日もゼネストが打たれて、
国内が混乱した様子がメディアの映像で流れていました。

ギリシャは歴史が古い国ですが、現在では経済規模が小さな国です。
ユーロ圏で2〜3%を占める程度の経済規模しかありません。

イメージしやすいように日本で例えると、
経済規模の大きな一つの県くらいの経済規模だと言えます。
東京都や大阪府よりは小さな経済規模です。

そのように小さな国の財政赤字は、
ユーロ圏で十分に援助することは可能です。

しかし、話はギリシャだけではすまないことを、市場は気にしています。
ギリシャは、返済(償還)時期が迫る国債の
借り換えをしなくてはいけない状況です。

恐らく、ギリシャのパパンドレウ首相が
メルケル独首相と3月5日に会談して、国債購入を依頼して、
差し迫った危機は回避されると期待しています。

今回、財政問題が表面化しているのは、
南欧のラテン・ヨーロッパに集中しています。

独・仏でギリシャの国債を購入することになると思いますが、
ユーロ圏の大国が、援助することが前例となってしまいます。

次は、ポルトガルやスペイン等が控えています。
市場が懸念しているところです。
ポルトガルやスペインは、ギリシャよりは経済規模が大きな国で、
ユーロ圏の大国だけで支えるのには苦労しそうです。

仮に筆者が独の公務員だとします。
自分の国である独が、ギリシャを助けるために、
「筆者の給料を下げてギリシャの国債を買うがどうか?」、と国に問われて、
直ぐに首をたてに振るかと聞かれれば、答えに詰まってしまいます。

独国民の窮状を救うために、給料がカットされるは我慢できます。
しかし、救うのは外国です。
それもごまかしたり、嘘をついていたりしていた国です。
国が国を救済すると言うことは、このようなことだと思います。

企業が債務不履行を起こすと、倒産してしまいます。
恐らく、市場から退場させられて、存在しなくなってしまいます。
ところが、国が債務不履行を起こしても、
世界地図からその国がなくなることはありません。

国と企業の差はここです。

国民生活が苦しくなっても、ギリシャがなくなることはありません。
例えギリシャが債務不履行を起こしても…。
国際金融はかなり動揺するでしょうが、困難は必ず乗り越えられるものです。

人類が社会科学の壮大な実験を行っているユーロは、
まだ揺れ動くと思います。
中央銀行として一つのECBが存在して、金融政策を行っています。

しかし、各国の財政は、それぞれの国の事情に合わせて、
独自に財政政策が行われています。
別の言い方をすると、財政政策はユーロ圏内でバラバラです。

世界各国の通貨、とくに紙幣にはその国の歴史的な偉人が印刷されています。
ところが、ユーロ紙幣には人物が印刷されていません。
ユーロに愛着が湧かないのではないでしょうか?

ユーロが実際に市場に登場して10年以上経過しましたが、
最大の試練だと思います。

民族、国、国境、税制、財政、通貨、金利、歴史等々複雑です。
ギリシャ問題を端緒に、ユーロが現状維持することは困難だろうと感じます。

腐ったりんごをそのまま箱に入れておくと、良いりんごまで腐ってしまいます。
ギリシャがユーロを離脱するのか、
そのままユーロに留まっていられるのか、見物です。

ユーロ圏の国々が使用するのは単一通貨です。

参加国の経済が、輸出が多いか輸入が多いかで、ずいぶん異なります。
ユーロが高ければ、輸出国は不利ですが輸入国は有利です。
反対に、ユーロが安くなれば、輸出国は潤いますが輸入国は疲弊します。

ユーロの価値は、ユーロ参加国で最大の経済規模の独の通貨価値と
同じようなものだと言えるのではないでしょうか?

そうだとすれば、ギリシャにとっては荷が重いはずです。
輸出産業の乏しいギリシャが、独と同じ通貨を使うのは難しいことです。

一般のドライバーが、F1に出場するような高性能なスーパーカーを、
練習なしで運転するようなものです。
それもレース場ではなく、一般道での運転です。
事故を起こしてしまうのが関の山です。

ギリシャの財政赤字削減努力を前提に、ユーロ圏の大国が援助するのか、
本当に将来的にギリシャの財政赤字は減少するのか、
時間稼ぎをして結論を先延ばしにしているだけだと思います。

今回のギリシャ問題の対処方法は、米国住宅バブル崩壊、サブプライム問題、
リーマン・ショックと大きな危機を処理した方法と同じ手法だと思います。

根本問題を解決せずに、表面を繕い時間稼ぎをする、世界標準の方法です。

日本がやってきた、1980年代の不動産バブルの処理方法と同じやり方が、
世界標準となりました。

その結果、日本は20年経過しても苦しんでいます。
米国やその他の先進国も、「日本型世界標準」の処理方法を採用するのであれば、
最低でも向こう10年くらいは、日本と同じように苦しむと考えます。

壮大な社会科学の実験は成功すれば良いですが、むずかしいでしょう。

ユーロとマルクが、ユーロとフランが、
並存する形に移行せざるを得ないと思います。

ユーロが認知されて10年以上です。
ユーロが消滅するとしても、10年以上時間が必要でしょう。

為替は美人投票と同じだと言われますが、ドルも買いにくい、
ユーロも買いにくい…、それでは何を買うのか?

現状はそのような展開です。

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