平松雄二の 株と為替に勝つ!
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2010年04月21日


FRBの資産と為替相場


<3月の為替相場>

3月の日本では、政治圧力が高まり、日本銀行が追加金融緩和を
実施するのではないか、と言う期待感が高まりました。
これは、ドル買い円売り要因です。

海外子会社等からの、期間収益等を日本へ送金する、いわゆる
リパトリエーション」で、ドル売り円買い要因も意識されました。

このように、日本ではドル買いとドル売りの、綱引きがありました。

一方、米国の経済指標は総じて好調で、FRBが早期に「出口戦略」
に転じる可能性も、一部で指摘されました。

米国の短期金利は、実質ゼロに張り付いており、
将来のインフレを懸念する、市場参加者も少なくありません。

その結果、長短金利差が拡大して、米国長期金利は上昇しました。
長期金利は、金融政策決定よりも早めに動くので、長期金利が
上昇すると、磁石のように投機資金を惹きつけます。

波のように、寄せては引き、引いては寄せる、
国の信用問題が、ユーロ相場を揺らしています。
3月は、出口が見えないギリシャ問題と、
ポルトガルの格下げで、ユーロ安ドル高に振れました。

3月以降、為替相場は、ドルが対ユーロ、対円で強含みました。
ドルに何か変化が生じて、為替相場は大きな転換点を
迎えたのでしょうか?


<今回のドル安相場の流れ>

2007年央からスタートした、今回の相場サイクルは、
当初こそ、「円キャリー取引」の巻き戻しが、きっかけでした。

しかし、その後、為替相場のテーマは大きく変化しました。
住宅バブル崩壊、サブプライム問題、リーマン・ショック、
金融危機へと繋がって行きました。

ドル安の最大のテーマは、「ドル余剰」です。


<チャートの説明>

添付の frbbs100421 を参照して下さい。

米国の中央銀行役である、FRBバランス・シート
2002年からの推移チャートです。

便宜的に、全期間1ドル=¥90で、邦貨換算しています。

安定的に推移していた残高が、リーマン・ショックを境に、
急膨張していることが分かります。

リーマン・ショック直前は、約80兆円程度の残高でした。
それが、短期間で、約200兆円の残高になりました。

リーマン・ショックが、「100年に一度」と言われる金融危機を、
惹き起こしました。
当時は、銀行がバタバタと破綻して、
誰も信用できない状況だったのです。

ドルを買いたくもないのに、貿易や資本取引の決済のために、
ドルを手当てする必要がありました。

なぜなら、ドルは基軸通貨だからです。

誰も信用できない状況で、ドルを手当てするには、唯一FRB
頼るしか方法は、残されていませんでした。

そのため、FRBは市場の混乱を鎮めるため、
各国の中央銀行へ、ドルを青天井で融通しました。

同時に、銀行や証券会社へ、緊急の融資を実施しました。

やがて、市場は落着きを取戻したので、各国中央銀行へのドルの
融通や、緊急融資の残高は、減少しました。

そこで登場するのは、ジャブジャブの「ドル垂れ流し」です。
「ドル余剰」です。
実質ゼロ金利政策との併せ技です。

経営が悪化した、住宅金融会社の発行する債券を、
市場から大量に購入することを、FRBは決定しました。
添付チャートの「モーゲージ債」の部分です。
100兆円余りの残高は、簡単には減少しません。

その上、FRBは、問題含みの債券等も引受けています。
どう考えても、それらの問題債券は、
元本が棄損していると、考えられます。
添付チャートの「緊急融資等」の中に含まれています。

元本の棄損状態は、住宅不動産市場が、
2007年の高値に接近しないと、解消されないと思います。
いわゆる、国民負担になる損失の可能性が高いと思います。

この点については、メディアは報道しません。
バーナンキ議長も、何も発言しません。
結局、「臭いものに蓋」をしようと、考えているようです。

リーマン・ショック以前の、FRBの資産増加ペースを、
そのまま延長させると、現状は約120兆円程度多目の
資産残高になっています。
チャートでは「紫色の矢印」です。


<今後の展開>

この120兆円の「ドル余剰」こそが、ドル安の根本原因です。
「ドル余剰」を解消する勇気は、FRBにはありません。
当然、FF金利を、上げる勇気もなさそうです。

米国の経済指標は、良い数値が発表されています。
インフレは抑制されていますので、直ぐに金融引締め政策に
転換する必要はないですが、FF金利は実質「ゼロ」です。

「ドル・キャリー取引」の増減はどうであれ、この120兆円の
流動性が、米国株高を演出しています。

あえて言えば、中国の不動産バブルまでも、
助長していると考えられます。

バブル崩壊の処理は、新たなバブルをもってと言う、
米国金融資本主義の真骨頂です。

まだ、隠されたものがあるからこそ、
過剰流動性を解消することはしないのです。
FRBと米国政府は何かを隠蔽しています。

モーゲージ債の購入プログラムは、3月で終了しました。
今後は、今までのペースで、FRBの資産残高は、
増加しないだろうと思います。
しかし、減少させることは、困難でしょう。

この「ドル余剰」が存在する限り、ドル安です。

これが、結論です。

FRBバランス・シートを、フォローすると、為替相場で、
負けることは、少ないのではないでしょうか?

短期相場は別ですが、長期のトレンドは間違わないと思います。

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