平松雄二の 株と為替に勝つ!
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2010年05月08日


<4月雇用統計の見方>

米国の4月雇用統計が発表されました。

4月NFP(非農業部門雇用者数)は、前月比29万人増加しました。
3月NFPは16.2万人増加が、23万人増加と上方修正されました。

10年に一度の国勢調査のための一時雇いが、
6.6万人含まれていますが、事前予想を上回る良い数値です。

前月の上方修正があったので、発射台が高いところから、
さらに雇用が増加している事実を、受け止める必要があります。

景気に弱気の立場で考えれば、米国政府の財政赤字拡大と、
FRB(連邦準備制度理事会)の、異例の金融緩和に支えられた、
経済成長だと言えます。

民間部門、とくに金融機関の抱えた損失を、公的部門が
肩代わりした、見せかけの景気拡大とも言えます。

しかし、過去の修正分を加味すると、1月は当初2.6万人減少が、
1.4万人増加と上昇修正されています。

2月は、当初3.6万人減少が、3.9万人増加へと
上方修正されています。

結局、米国のNFPは1月からずっと増加しています。

国勢調査の増加分は、3月が4.8万人でした。
予定では、約100万人程度の臨時雇いをするので、
6月までは、NFPは大きく増加することになります。

一方、失業率は前月の9.7%から9.9%へと上昇しました。

経済学の教科書に出てくる、「失業率は景気の遅行指標である」を、
如実に示しています。

景気が上向いてきたため、就業を諦めていた人達が、
労働市場に戻ってきたのです。

失業率は、就業者数を労働人口で割って求めます。

分母となる労働人口が増加しました。
就業者数も増加しましたが、労働人口の増加の方が大きかったため、
失業率が増加したのです。

今回の失業率上昇は、むしろ前向きに捉える数値です。

米国の経済は、安定的に拡大し始めています。


<雇用統計を受けての相場展開>

上記のような、予想以上の最重要経済指標を受けて、
通常の状態であれば、

ダウは、少なくとも100〜200ドル上昇、
米国長期債の金利は、0.1〜0.2%上昇(価格は下落)、
ドル円は、少なくとも2〜3円はドル高円安、

の相場展開になると考えます。

しかし、実際は…。

ダウは前日比140ドル安、
金利は極わずかに上昇、
為替は、当初はドル高に反応しましたが、むしろ円高になりました。

ギリシャが、相場を捻じ曲げてしまいました。


<コンピュータ取引>

前日5月6日の米国株は、1987年のブラック・マンデー以来の、
大幅下落を演じました。

アルゴリズム取引や誤発注等が、原因らしいですが、
事実は、相場が下げたがっていたと思います。

相場に対して強気の参加者が多過ぎたのでしょう。

ブラック・マンデーの犯人は、当時流行していた、
「ポートフォリオ・インシュランス」とされています。

ポートフォリオ・インシュランスとは、相場の想定以上の変動に対して、
ポートフォリオの価値を保全するために、保険をかけることを言います。

保険は主に、オプションで対応します。

相場が下げれば、一定額以上の損失を防ぐために、
ポートフォリオを売却します。
つまり、下げ方向に拍車をかけることになります。

逆に、相場が上昇すれば、上げ方向に拍車をかけることになります。

当時の、オプションの取引執行も、コンピュータで行われていました。

結局、巨大な金額を運用する、機関投資家の保険は、
自分で自分の首を絞める結果になりました。

今回の犯人と言われている、アルゴリズム取引は、
コンピュータに最適な答えを計算させて、
自動的に売買を執行する手法です。

売り買いの注文が沢山入っている、通常の状態であれば、
人間の判断より早くて正確なコンピュータは、人間よりも
儲けることができます。

しかし、ギリシャ問題で、市場が疑心暗鬼になっている最中、
買い注文がないところに、コンピュータが断続的に
売り注文を出せば、相場はとことん下げてしまいます。

過去2度に及ぶ、株式相場の大きな下落は、人間が作った
道具である、コンピュータによって引き起こされました。

道具によって人間が蹂躙される様は、チャーリー・チャップリンの
映画「モダン・タイムズ」を彷彿とさせます。

コンピュータが悪いのではなく、使い方に失敗したのです。
プログラムにミスがあったのだと思います。

米国株式取引所は、大きく乖離した価格で取引された取引を
取消すそうです。

取引所取引は、そのようなことが可能ですが、
為替のように相対取引では、そのようなことはありません。

アルゴリズムにより、異常値が出現して、株式取引は
ないことになっても、異常値によって出現した、為替相場は
ないことにはなりません。

少し、腑に落ちないところがありますが、現実です。

しかし、ダウで瞬時1000ドル下げて、
瞬時650ドル上げたことも事実です。

650ドル戻したことが、重要な意味を持つのであれば、
昨日の経済指標では、素直に上昇していたと思います。

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<ギリシャとベアー・スターンズ証券>

IMF(国際通貨基金)やEUがギリシャに緊急融資を実行しても、
実際にギリシャが返済できるのかどうかが問題です。

時間稼ぎをしているだけです。

サブプライム問題発覚から、
リーマン破綻に至る過程と比較すると、現状は、
ベアー・スターンズ証券がJPモルガンに救済合併される時点と
符合するような気がします…。

市場参加者には、ギリシャがリーマンだと言う人がいますが、
私は、ベアー・スターンズ証券だと考えています。


2010年05月08日 14:00記述


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