平松雄二の 株と為替に勝つ!
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2010年06月17日

米国株は調整かベア・マーケット入りか


1)調整に過ぎない

米国トップ・クラスの運用会社の一つである、
フィデリティー・インベストメンツの最近の調査レポートに、
大変面白いものがありましたので、紹介します。

添付ファイルの fidelity-1-100617 と fidelity-2-100617 は,
加工せずに、原文をそのまま、コピーしたものです。

そのため、基本的な論旨は、フィデリティー・インベストメンツが
考察したもので、私が考えたものではありません。
読者の方へ、是非紹介したいので、取上げました。

以下に論旨を要約します。

米国株が、昨年3月の底値から上昇を開始して、
4月高値から10%以上下落して、調整局面に入りました。

欧州での経済成長落込み懸念、新興国ではインフレ懸念、
メキシコ湾での原油流出事故、新金融規制の帰趨等々、
懸念材料が多くあり、今後さらに下げる可能性はあります。

しかし、今回の下落が調整の一つと考える根拠は:

世界経済は2009年初めよりは、遥かに健全です。
アジアや米国経済は回復過程にあり、現状の不確実性が、
直接リセッションへ戻ることにはなりません。

株式相場は下落しましたが、過去のブル・マーケットでの、
調整局面と比較すると、平均的なものだと考えられます。

1928年以降、20回のブル・マーケットにおいて、
初めての調整は、底打ちしてから平均17ヶ月後です。
今回は14ヶ月と同じような期間です。

また、調整が始まるまでの上昇率は、
過去の平均では57%に対し、今回は80%です。

違う点は、調整スピードです。
過去の平均は、12%の調整に54日かかりましたが、
今回はわずか27日間で12%の調整になりました。

過去のデータは、将来を保証するものではありませんが、
フィデリティー・インベストメンツは上記のように、
通常の調整局面であると考えているようです。

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2)ECRI

日本ではあまり報道されませんが、民間の独立系調査会社に
Economic Cycle Research Institute、頭文字でECRIがあります。
景気サイクル研究所、とでも呼べば良いのでしょうか。

同社の創設者、ジェフリー・ムーア氏は、グリーンスパン前FRB議長の
経済学の恩師として知られています。

また、同社の設立目的は、米国の景気変動を公式に認定する
全米経済研究所に先んじることだとされています。

同社が毎週発表している、景気先行指数はとても確度が高く、
実体経済や株価に先行していることで知られています。

添付ファイルの ecriwli100617 を参照して下さい。
週間景気先行指数が、株価に先行していることが分かります。

各景気後退期の基礎的な背景は別として、確実に言えることは、
景気が悪いときは、株価は下落します。
株価が下落するときは、企業収益も悪いです。

6月4日の指数は-3.5で、急激な下落を示しています。
向こう数週間の、この指数動向を注意して見ておくべきだと思います。

今の水準が続くと、年後半の米国経済は成長スピードが、
大きく落込む可能性が出てきます。

株価は素直です。
株価は、経済の先を読む力があります。

政府高官や連銀総裁が、欧州の信用危機の影響は
軽微だと発言していますが、この指数が低下を示すのであれば、
彼等は、経済の減速を避けたいがための発言をしています。

彼等には、経済活動の高度な情報が入っていますから、
落込みを防ぎたい筈です。

しばらく影を潜めていた、ダブル・ディップ・シナリオが、
復活しそうです。

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3)消費者統計研究所

英語の名称は、Consumer Metrics Instituteです。

この研究機関が、過去に日本で報道されたことがあるか、
分かりませんが、面白い指数を会員向けに出しています。

同社が算出している、成長指数は、GDPに先行しています。
同指数は日々更新されていますが、GDPは四半期毎に発表され、
その後、月に1度の修正が加えられます。

結果的に3ヶ月程度の先行性があります。
添付のファイル cmigdp100617 を参照して下さい。

今後も先行性が維持されるとすると、最悪のケースで、
また、最短のケースで、第2四半期からGDPは、
マイナス成長になる可能性がありそうです。
マイルドに考えると、年後半のGDPは懸念材料です。

同社の説明によると、商務省のGDP統計は、
前世紀の供給サイドに立った統計手法で、
同社の指数は、21世紀型のIT技術を駆使した、
需要サイドに立った統計手法なので、正確で早いのだそうです

同社の歴史が浅いのと、市場での認知度があまり大きくないため、
日本での報道がまだないのかも知れません。

しかし、実際にGDPにきちんと先行する状況が続くと、
同社の研究は面白い展開を見せるかも知れません。

前述のECRI同様、米国経済の二番底の
可能性は少し大きくなったように感じます。

そうすると、今回の株価の下落は、単なる調整で
終わらないこともあります。

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4)エリオット・ウェーブと多数説

読者の方の中にも、造詣が深い方がいらっしゃると思いますが、
エリオット・ウェーブ大家の、ボブ・プレッチャー氏の、
分析によると、今回でベア・マーケット入りしたそうです。

上昇5波動が終了したとしています。

向こう数年で、昨年3月の安値を下回る下落を、
見込んでいるとのレポートが出ています。

同氏は昨年2月には、株式相場の上昇をレポートしていました。

しかし、多くの著名アナリストやストラテジストは、
フィデリティー・インベストメンツ同様、今回の下げは、
ブル・マーケットの中の調整局面だとの立場です。

企業収益も良く、バリュエーション面からも、
相場の下げが、株価の割安感を強調していると考えています。

強気と弱気の綱引きです。

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5)米国株の動きその他

添付の daowdaily100617 を参照して下さい。
ダウの日足チャートです。

5月下旬に収まっていた、狭いレンジ10000〜10300を
上に抜けました。
その上、200日移動平均も上抜けして、久しぶりに、
ブル派が息を吹き返しました。

目先は、200日移動平均がサポートになる可能性があります。

陽線直後の同事線は要注意です。
また、ダウに先行するダウ輸送株指数は、6連騰で止まりました。

50日移動平均線が、200日移動平均線を上から下へ切る、
いわゆる「デッド・クロス」が、視界に入ってきました。

このデッド・クロスは簡単には解消しないでしょうから、
要注意です。

一方、日本の状況です。

ユーロのショート・ポジションの巻き戻しも手伝い、
円の安定が寄与しています。

新内閣への期待と安心感もあります。
「閑散に売りなし」→「菅さんに売りなし」と市場関係者で
揶揄している人もいます。

何といっても、海外株高が好影響です。

日経平均は短期的に、ダブル・ボトムをつけて、
強気のチャートになっています。


2010年06月17日 10:00記述


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